2024年2月13日火曜日

Excellent Bamboo Fly Rod に関するJimの質問

  モンタナの友人 Jim Dawson が 4月に私の日本のホームリバー に、釣りにやって来る。

 4月の日本の大鱒をドライフライで、尚且つアキマルバンブーロッドHEXAで釣る事、アキマル工房を尋ね、アキマルバンブーロッドHEXAの取材をしたいとの希望なのだ。重ねて、皆様既にご存知の2025年4月から開催されるCatskill Fly Fishing Center & Museum  = Catskill 博物館のAKIMARU HEXA Exhibition のコマーシャルにこの記事を使いましょう・・・との 提案もあっているのだ。" 持つべきは友 " Catskill Exhibition  の応援は大歓迎 😎  

 Jimはモンタナ、アイダホ を中心に大鱒を釣りまくっている釣り仲間で、サンフランシスコの名門釣り倶楽部、ゴールデンゲート・キャスティングクラブの主要メンバー、その昔京都で仕事をしていたこともある親日家なのです。しかし日本の大鱒釣りは初めてなので、必ずヒレピンの日本の大鱒を釣らせようと思ってます。


 雑誌記事として、日本のFly Fishing、日本のバンブーロッドHEXAの物語を描くにあたって、アキマルとアキマルバンブーロッドのバックグラウンドを知りたいからと、以下の取材質問がJim から送られて来ました。

 

  1. When and, more importantly, why did you decide to begin building bamboo fly rods?
  2. What was your background prior to becoming a rod builder?  Schooling, technical training, etc.
  3. Where did you grow up and when did you begin fly fishing?
  4. What is the single most important element, in your opinion, in building a bamboo fly rod?
  5. What makes the difference between a good bamboo fly rod and an excellent bamboo fly rod?
  6. How many rods are you able to build in a year?
  7. Where in the world has AKI’s Hexa fly rods caught fish?  Japan, NZ, Kamcatcha, UK, US, etc?
  8. What drives you as a bamboo rod builder?
  9. What vision as a rod builder do you follow?
  10. What or who have been the greatest influences in your rod building?
  11. How important is commercial success in your rod building?


 1. 何時、何故バンブーロッド製作を始めようと思ったのですか?
 2. ロッドビルダーになる前の経歴、学校教育、技術研修などは?
 3. あなたは何処で育ち、何時、フライフィシングを始めたのですか?
 4. バンブーロッドを製作する上で、最も重要な要素はなんですか?
 5. Good Bamboo RodとExcellent Bamboo Rod の違いはなんだと思いますか?
 6. 1年に何本のバンブーロッドを製作出来ますか?
 7. HEXA ロッドは世界の何処の魚を釣っていますか?
 8. あなたをバンブーロッドビルダーとして駆り立てるものは何ですか?
 9. ロッドビルダーとして、どの様なビジョンを持って居ますか?
   10. あなたのロッドビルディングに最も大きな影響を与えてくれた人物は誰ですか?
 11. ロッド作りにおいて、商業的な成功は、どの位重要ですか?

 改めてバンブーロッドビルダー・アキマルとして答えなければいけない、非常に興味深い 11の質問です。まずは1 の質問から順に2回に分けて、私の考えを 10DAYS で公開も兼ね、お答えして行こうと思います。
 只、回答の対象がアメリカやユーロ及び全世界の読者に及びますので、10DAYS 購読者の皆様には少し、遠回りな回答もありますが、その点ご了承ください。

 1. 何時、何故バンブーロッド製作を始めようと思ったのか?
 1981年10月に現在のAKIMARU BAMBOO RODSの前身 Fishing Tackle Maker AKIMARUを創設開業。この時代、1987年の夏までオリジナルのグラファイト・フライロッドを製作販売していましたが、そのグラファイトロッドはアキマルサイドが行う作業はロッドデザインとアクション決めのみ、ロッドの製作そのものは他社のメーカーに発注していました。しかし他社、他人が作るフライロッドは、製作ロッドの精度に関しての不満が蓄積されて行きました。その向こうでバンブーロッドの美しさと、その道具としての機能性に強く魅せられていました。そして、時間の経過と共に、バンブーロッドを自分自身で作りたいとの気持ちが強くなって行きました。そんな心境の中で、幸運にも1985年春、アメリカ人の作った美しいバンブーロッドに出会ったのです。
 それがアメリカ人ビルダー・ユージーン三田さんの作ったオイルフィニッシュ仕上げの素晴らしいバンブーロッドでした。1987年と1988年の各3ヶ月間シアトルで、三田さんにバンブーロッドビルディングの基礎を教わりました。
 その後最初のオリジナルバンブーロッド 山女魚用 7'4"  #4  2pc  IDENO Special  が 4年後に完成しました。
 優れた道具=優れたFly Fishing バンブーロッドで、美しい野生鱒を、美しく釣りたい。
 これがアキマルバンブーロッドの原点思想です。
 
 2. ロッドビルダーになる前の経歴、学校教育、技術研修などは?
 今の仕事の前身は、会社勤めでグラフィックや洋服のデザイナーでした。美術大学を中退した後、デザインの専門学校でクラフトとパッケージデザインを修学。その時に身につけたモノ作りの技術や考え方が、バンブーロッド作りに大きく影響しています。
 因みに、学生時代に教えて頂いた日本工業デザインの先駆者・柏崎先生の教えが今だにバンブーロッド製作やモノ作り精神の基礎になっています。
 「何が言いたいのか、何を伝えたいのか、その事が物作りで一番大事」 
 この教えはバンブーロッドを製作する上でも、一番拘るポイント。
 どんなアクションで、どんな魚を、このロッドでどんな風に釣りたいのか?釣らせたいのか?
 自分はどうありたいのか?自分と家族を含めた私たちはどうありたいのか?・・・・全てこの考え方を踏まえています。私の生き方、人生そのものにもなっています。



 3. あなたは何処で育ち、何時、フライフィシングを始めたのですか?
 日本の南側、福岡県で生まれ育ちました。Fly Fishing を始めたのは、1974年25歳の頃でした。当時山中をドライブするのが好きで、隣県の山中で Fly Fishingをやっている人と出会い、Fly Fishingに興味を持ちました。その後日本の Fly Fishingのパイオニア、芦澤一洋さんと一緒に釣りをする機会が多くなり、Fly Fishingに夢中になり、仕事として Fly Fishingの世界で生きて行きたいと考える様になったのです。

 4. バンブーロッドを製作する上で、最も重要な要素はなんですか?
 私個人についての見解を先ずはお答えします。
 私がバンブーロッドを製作する上で重要な事は幾つもありますが、私はオリジナルデザインのバンブーロッドしか製作しません。
 そのオリジナルのバンブーロッドを製作する上で、最も意識するのはアキマルバンブーロッドは鱒釣りの為の道具だという事。
 そのロッドで想定している範囲の最小から最大サイズの鱒を、上手くランディング出来る事、それはフッキングした鱒を暴れさせないロッドアクション、イクオール野生鱒の荒々しいファイトをロッドが上手く吸収してくれるデザインのロッドである事。
 加えて、投げやすく、使い易い事、美しい事、長く使える事などの要素を備えている事は道具としての当然の条件です。
 又別の重要要素は、そのロッドで納得の行くまでのフィールドテストをやる事。その為には良い鱒の住む、良い釣り場が重要ですし、フィールドテスターが良い釣りスキルを持っていて、正確な判断が出来る事。



 5. Good Bamboo RodとExcellent Bamboo Rod の違いはなんだと思いますか?
 質問の基準が分からないので、回答は難しいですが、私の個人的見解でお答えします。
 私は他人が作ったバンブーロッドに余り興味がない事から、他人が作った Good Rod や Excellent Rodと言われる物を殆ど知りません。
 私は主にお客様からオーダーのあったバンブーロッド製作を仕事として作っています。
 私は自分の製作するバンブーロッドを常に、Excellent Bamboo Rodにするべく、自分の持てる最大限のスキルで製作しています。そのバンブーロッドを製作する上で、デザイン上の判断基準は他者の意見ではなく、自分の意思と野生の鱒がくれる釣り時の回答です。
 私の意識するExcellent Bamboo Rodは 質問4の回答と重なりますが、そのロッドで想定しているサイズの最小から最大鱒をスムーズにランディング出来る事。美しい最上級の竹材を使って、私のベストの技術で製作した美しい道具である事、投げやすく使い易い事、長く使える事。
 そしてそのロッドの使い手が最大限の満足を得られるロッドである事。

 6. 1年に何本のバンブーロッドを製作出来ますか?
 シングルティップだと年間30本位は製作できるでしょう。
 日本のお客様は殆どハイグレードのシングルティップHEXAのオーダーになります。
 しかし2011年から2019年までと、このコロナ騒動の収まった、2年前からアメリカやユーロ圏からのHEXAのオーダーが多くなってます。これらの外国からのオーダーロッドは殆どが 2tips 仕様のハイグレードHEXAになります。これら2tipsロッド製作が絡むと、シングルティップ18本に2tips ロッド6本製作位が年間製作数の限界でしょう。




 今日の回答は6番までにしておきましょう。追加意見として・・・・
 4. バンブーロッドを製作する上で、最も重要な要素はなんですか?この質問に関しては、私以外の人がバンブーロッドを製作する場合の重要要素は、別の要素が重要だと思います。その理由は私が20人近くの若い人にバンブーロッドビルディングを教えた経験からの感想ですが・・・・。
 私以外の人が Fly Fishing バンブーロッドを製作する上で必要なものは、まずFly Fishing が誰よりも好きだという事。キャスティングが上手い事、そして釣りが上手い事は最低条件。加えて良い釣りの経験が豊富で、物作りが好きだという事などの要素にプラス、創意工夫・努力・実行出来る才能が必要だと思います。
 40年近くバンブーロッド製作をして来た時に、見えた事は・・・・確かに少し勉強すればバンブーロッドの形は出来ます。しかしそれはバンブーロッドの形をしたものにしか過ぎません。
 バンブーロッドをExcellent Bamboo Rod に近づける為には、やはり創意工夫、努力、実行出来る才能と良質の釣り経験が多く必要だと思えます。

 Jimの質問 No7から11までへの回答は次回 10DAYSで。



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