6月のBambooRodDays におけるアキマルロッド好評の理由は間違いなく日本竹素材・WATAKEを使った事に有ると私は確信している。
そこでWATAKEに関してのアメリカ人達の感想もご紹介しよう。
「私は竹の専門家ではありませんが、WATAKEはその繊細で表皮側に集中したパワーファイバーによって、ロッドビルディング、特にホローロッドに適していると思います。
これこそ秋丸さん、あなたが捜し求めていたものだと思います」
と言うのは世界的に有名なバンブーロッドコレクター、ネルソン石山さん。
私が今のダム式ホロービルトロッドを始めるきっかけになったのが、確か90年代初めにネルソンさんに見せてもらったペア・ブランディンの8’3”#4のセミホローロッド。
これはソリッドロッドしかやってなかったビルダーには衝撃的な出会いだった事を今も思い出す。
このペアロッドの出会い前から日本竹WATAKEをロッド素材として持っていたのだが、
当時製作していたのはソリッドロッドだけ。
ソリッドロッドの素材としてはトンキン竹の方が勝っていたので使わなかった。
竹材の芯側にある柔らかいピスの部分の肉を削り取るホローロッド、
これを始めるにあたり、
パワーファイバーが表層に密集しているWATAKEが適材で有る事を確信し、
1996年の後半から製品化したのである。
「WATAKEロッドはパーフェクトだったよ…」
と言った新鋭ビルダー・ロウエルはWATAKEで自分もクワッド“四角”ホローロッドを作りたいと言う。
何故ならばブランク一辺の幅が6角ロッドより広いクワッドにはトンキン竹よりも竹ポール径の大きなWATAKEが適している事を見抜いたからだ。
そして最後にWATAKE素材をみて一番興味を示したペア・ブランディンの感想。
「あなたが今回のBambooRodDaysに持参された日本の竹WATAKEに非常に興味が沸きました。
シミひとつないその竹は、きれいで美しいことはもちろんですが、私がロッドに使用しているトンキン竹と比較して、最も感銘を受けたのはパワーファイバーの質でした。
WATAKEはトンキンと比べ、非常に繊細な繊維が高密度に積層されていることです。
最初に、このトンキンより高密度のパワーファイバーは、セミホローあるいはホローロッドを作るのに理想的な竹材かもしれないとの印象を受けました。
数年前、別の日本の方から少量の日本の竹をいただきましたが、今回あらためて日本の材料でスペシャルロッドを数本作ってみたいとの意欲をかきたてられています。
私達の為に、貴方自身が使用しているWATAKE材を米国に送ってくれるとの約束、その材料で、数本のロッドを作る事を楽しみにしています」
又最後にペアはこう結んでいた。
「百年以上に亘って、トンキン竹がバンブーロッド製作のゴールドスタンダードでしたが、日本の竹WATAKEは同等あるいはそれ以上かもしれません。
その事を私自身でも確かめたいという探究心が沸きあがっています」
世界が認めるTOPビルダー、ペア・ブランディンをして、百年以上続いてきたゴールデンスタンダードのトンキン竹を凌駕するかもしれない竹WATAKE。
私はWATAKE#4ロッドと5Xティペットで63cmまでの荒瀬のレインボウ鱒を
2分強で取り込んでいる。
あのスーパースター、マイク・ローソンもWATAKEの#4ロッドでスーパーファイターのヘンリーズフォークレインボウ鱒の60cmオーバーを難なく取り込んでいる。
ロッドウエイトも7’9”#4の2pcトラウトロッドで84gと言うフェザーウエイトも実現できた。
経験の少なさからまだサーモン竿までとは断言できないが、下は山女魚竿から70cm位までの鱒竿としてならば軽さと強さ・しなやかさと粘りのバランス、そして美しさ等トータルポイントでは確実にWATAKEが勝っていると私は実感している。
4人のアメリカ人バンブーロッドビルダー達に送ったWATAKE。それをを実際に使ってみて4人がどう感じるか、又どんなロッドが出来上がってくるか私も興味深々である。
只このWATAKE、日本の山に有る同じ種の竹を選べばWATAKEになるかと言うとそうではない。そこには竹材職人とバンブーロッドビルダーの職人技術がどうしても必要になる素材なのである。
ペア・ブランディンの言ったトンキン竹を凌駕する日本竹WATAKE。
WATAKE=和竹、その意味を皆さんにそれぞれ考えていただきたいと思います。
(このあたりの話については9月22日発売のFF雑誌「フライロッダーズ」に書きますので是非一読して下さい)