井上陽水の歌に65歳になった、年老いた母を歌った曲があった。
その陽水の歌もボリュームを上げないと聞こえない程,私も歳をとった。
ロッドビルダーを始めて30数年、自分のオリジナル世界観が少しは出せる様になったかな?と時々自分に問いかける。答えは時々マル、多くは?
10DAYS、今回から何回かに分けて、思いつくままにアキマルバンブーロッドの過去と現在そして未来について書いて行こうと思う。
竹竿屋の一人言と思って読んで頂ければと思う。あくまで私感である、間違っている事もあるだろう。そこはお許しあれ。
アキマルさんの思う良いロッドとは?と良く聞かれる。その度に私感を伝えた上で、聞き返す。
あなたに取っての良いロッドは?とか、あなたはどんなロッドが欲しいですか?と問いかける。
良いロッドは素材で決まる。美しい日本の竹WATAKE。 |
私が仕事としてロッド制作をやっている以上、お客様である使い手が気持ちよく感じ、使えるロッド、それ以上に良いロッドと言うのはあり得ないだろう。
最初に使い手=オーナーの情報を出来る限り沢山集める。集めながら相手の好みや希望を私なりに解釈し、形やアクション、デザインを肉付けして行く。釣に関する直接的な質問は当然の事だが、衣食住、人生色々の角度からの質問や、雑談の中から相手の思考と嗜好を探りロッドの形にして行く。その上で出来上がった例えばAロッドをオーナーが気に入ってくれた時、そのAロッドこそがオーナーにとっての良いロッドだと私は思っている。
オーナー=使い手が欲しいアクション、デザインのロッドを私がビルダーとして形作っていく、それがバンブーロッドビルダーとしての仕事の一つ。それで終わりではない。
アメリカのレジェンドTom Morganの要望を元に作ったコラボレーションロッド「AkiとTom」 |
どんな種類のデザインになっても、狙いの想定サイズの大鱒が取れる事、その上で長時間使っても手に持っている事を感じさせないロッド。
時に想定以上の大鱒が掛かる場合もあるだろう。それも自然の理。その時はそのロッドでの対応を諦め、パワープラスの別のロッドを作る。それだけ。
作るロッドには範囲がある。その範疇に収まっていて、どれだけ使い手に心地よさを感じさせ、喜んで貰えるロッドを作れるか、その為の情報収集と理解力,そして表現力こそがビルダーの腕だと思っている。
バンブーロッドビルディングはロッド制作を伴うサービス業だと私は思っている。
釣り人にとって人生で一番大切な釣の時間を共に過ごす為の文字通りの相棒=バンブーロッド、その道具を通して楽しく過ごしてもらう事こそが,私の思うビルダーの仕事。
私は国内外で、オーナー達と釣を共にする。ロッドのフィールドテストを見極めながら、同時にオーナー達の嗜好や感想の実際を体験出来、その体験を次のロッドに生かす。その現場で見れるアキマルロッドのオーナー達の喜び様が楽しいのである。
話は少しそれるが、今年5月末、アメリカ、ニューヨーク郊外の老舗博物館で私の個展が開催される。FFの本場アメリカのCatskill Fly Fishing Center & Museum(以下Catskill博物館)からの招待展示である。
個展のタイトルは「Japanese Artisan Spirit」日本人としてこれほど名誉な事は無い。
只、当然会場はアメリカCatskill、日本のお客様には中々見て頂けないのが少し残念。
この個展は私のビルダー人生の集大成とも言えるイベント。ここまで30数年お世話になった日本のお客様にも心から見て頂きたい。そこでCatskill博物館館長に相談、計画を若干変更。10月末でのCatskill 展示会終了後、12月に東京のアートギャラリーを使って、同じ展示内容で東京展示会を開催する事にした。
今その展示用記念ロッド10種10本を製作中である。半分は私個人がアメリカの人達に見せたい作りたいロッド。後の半分は日本のお客様の要望に合わせ作る完全ONE OFFの記念ロッド。このCatskill記念ロッドをお客様のご要望に合わせ作り、展示会終了後にお渡しする、完全ONEOFFロッドをお客様と一緒に作ってこの記念イベントを愉しもうと言う魂胆である。
あなたのご希望のロッド仕様をEmailで下記、アキマル迄御知らせ下さい。
info@akimaru.jp
あなたの思う最高のヤマメ、岩魚、鱒用ロッド、Catskill 記念ロッドをアキマルと一緒に作りましょう。
次回10DAYSはアメリカでのショップ販売等についての一人言。