Tomが亡くなって早2ヶ月が過ぎた。
アメリカ旅帰国後殆どまともなロッド製作作業らしい事が出来ずにいる。
Tom Morgan と言う道しるべを突然失なった事のショックは、アメリカ旅で共通の友人達とTom を偲ぶ事が出来、完全ではなくとも、平常心を取り戻せたと思ってた・・・のだが違った。
30年毎年恒例としたHF旅を中心とした一年通しての作業のルーティーン。それが実行出来ないでいる。
例年ならば2週間旅をしていると釣3日目位で大鱒釣果も出、5日目にはほぼ満腹。
アキマルロッドのすべてを鍛え上げてくれたHFの20”オーバー
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その5日間の感想からバンブーロッドビルダーの意識が動き始めるのが分かる。
そうすると6日目からロッドの修正点や新しいアクション,新しいロッドイメージが頭の中で回り始める。
7日8日目過ぎ辺りから、釣のモチベーションよりはロッド制作意欲の方が強くなって行く。もう止められない。
9日目製作作業の仮想動作を知らないうちにやってしまい苦笑い。作業をやれない禁断症状。だが後5日間は物理的に作業は出来ない。ストレスを感じ始める。
11日目になるともう釣をやらなくても良くなり、河原で友人達の釣を見ながら、頭の中では、新しいロッドのイメージがどんどん固まって行く。夜は禁断症状で眠れず。
13日目、自身の釣はほぼやらない。仲間達を川迄送り、車でのんびり過ごすか、宿で荷物の整理と帰国の準備、飯を食いながらロッド作業の内容と手順をメモして行く。
14日目早朝帰路につく。1日掛けて嬉しい帰国。
15日目夜、疲労困憊の帰宅。時差ぼけを防ぐ為に、翌早朝5時起き、即仕事開始。
その日の午後から禁断症状を解決するべく待望の削り作業。
竹材削りの麻薬は私を天国へ誘う。フ〜ン幸せ。普通より作業がガンガン進む。
一年の中心は6月のHenry's Fork 旅。バンブーロッドビルダーアキマルの正月は6月。
アメリカHenry's Fork 旅プラス 20㌅ オーバー鱒の釣果と,その結果からのロッド製作モチベーションの大幅アップ、イメージの消えない内に帰国後即製作開始、一気にロッド迄完成させる。これが30年来続けている私の年間のルーティーン。
これが久しぶりにTomショックで何時もの様には行かなくなってしまった。
今年アメリカ旅に持参した3種の新作HEXAロッドは修正すべき点は良い意味で見つからず、かといって新作のイメージも無く帰国。
5月の初めTomと6月に会う約束をしていた時点では,会った時に、2014年一緒に釣をした時Tomが言っていたウエスタンロッドの事を詳しく聞く積もりだった・・・・それが新しいロッドのイメージになり、今年夏以降はそのNewロッド完成迄、最低5年は充実した生活が出来ると思っていただけに残念である。
どうするべ?・・・・・。
今はTomの送別を遣り終える事、それが私からの先生 Tom Morgan へのTribute。
Tomの命が宿る鱒釣りの聖地 |
Tomが亡くなる一ヶ月前、一緒に楽しもうと言っていた合同イベントがある。
去年秋から進んでいるTom Morgan & AKIMARUの合同展示話。
アメリカで最も権威のあるバーモントのフライフィッシング博物館 American Museum of Fly Fishing (通称AMFF)で計画が進んでいるTomと私の合同展示、予定タイトルは
“ INVENTIONS in rod making ” that FEATURE “ Tom Morgan ” & “ AKIMARU ”
今回のTomの訃報で博物館サイドは博物館会員向けジャーナルで Tom Morgan 特集 Tribute記事を掲載するとの事。そして私達の合同展示も同じタイミングでTribute 開催するのだろう。
展示内容は近代フライフィッシングにおける発明2題、1つはTomの作った新機軸のプレーニングフォーム(2面式削り台)Tom Morgan MILLS。そしてもう一つが私の作った新機軸のバンブーフェルール・ロッド HEXA。
この合同展示企画をAMFFスタッフと私で完成、実現、成功させる事が先生Tomへの私からのTribute。
今年10月、AMFF博物館からチーフダイレクター Yoshi Akiyama 氏が、福岡のアキマル工房迄 HEXAロッドの取材の為やって来る。まだ企画内容の全容は知らされていないが、10月迄にHEXAレポートを整理しておこうと考えている。
F F世界の真のレジェンドTom Morganの功績をたたえ、彼の意志=希望のバンブーロッド未来世界を、残った私達が良い形でバンブーロッドを次の未来繋げて行こう。
私の人生の先生 Tom Morgan 安らかにお眠り下さい。
合掌