78g。
私が作るバンブーロッド1本の重量である。
今年春、友人の名手・谷澤君から50cmオーバー60cm超位の大鱒を、短めの3番か4番の軽快なバンブーロッドでやれませんかね?と言う夢のある提案と依頼があった。
通常、私が対50cm~60cm超の大型鱒を想定する時、ベースはアメリカのHenry's Fork(以下HF)や北海道の広いスペースで、 8'0"以上の5番もしくは4番の強いロッドで、3x もしくは4x、最低5xのティペットの釣り。しかし谷澤君の想定する川は、日本の河川で、誰もがイメージする普通スケールの山女魚川。HFの流れの1/10のサイズにも満たない。しかし魚はその川で自然交配した、ヒレピンの超美形・大型レインボウ。なぜそんな山女魚川サイズの川でこんな大型の鱒が生息できるのか?その理由は川は下流でダム湖とつながっていて、川の水の量でダム湖で大型に育った鱒が、川に指してくる、言わば降海型のスティールヘッドと同じく、降湖型のファイター。それを軽快な4番もしくは3番のバンブーロッドで釣りたいというのだ。その鱒の写真を見せられたバンブーロッドビルダーは、彼の釣りの夢を現実にしたいと思った。
まず試験釣行。既存のHEXA 3pc 8'0"の4番 / 804 HEXA 3pc (91gの完全なトラウトロッド)を使って、谷澤君が希望する河川での60cm級鱒のパワー確認。幸いにもテスト初日64cmというサイズを5xで掛け、通常通りのロッドの絞り方で試した。その魚は偶々ハンドルにラインが絡まった時に一気に走られ、斬られてしまう。次に55cmクラスもノットミスで5xを切られる。しかしこの2匹でこの川の魚の強さをHF鱒との比較で、少し体感出来た。
この時の804 / 3pc はバットが強すぎ、バットからミドルにかけてを0,002"~0,001" 細目に修正。この修正テーパー値はHEXA 2pcの804 JJ-Type(82g)に相当し、次にこの804 JJ-Typeも並行してテスト。
次は上手くいった。ダムから指してくるパワーアップの54cmのファイター鱒を修正した804 / 3pc(89g ASHIZAWA)で、これ以上ないだろう美しいロッドベンドを確認しながらランディング出来た。804 JJ-Typeも谷澤君が楽々55cmの大鱒をとった。長めの8'0”で、この狭い川でも行けるという事は・・・・・・
山女魚川サイズのスペースでの大鱒とのやり取りは、8'0"ロッドの長物よりは短めの方が大鱒を捌きやすい。HF釣りの様な長いラインを出してのやり取りは、やりづらい事から、グリップ上10~15cm位からロッド中央の付近までを均等に、より早めに曲がる様にして、まずは最初の大鱒の走りを止める要素が必要。更に大鱒の重い、強いファイトに対抗するロッド中央部の強さと粘り。更に、同じ太さならば長い棒よりも短い棒の方が強い。これが決定的なヒントになった。 軽さを意識した予定の2pcはやめて、各セクションの短い3pcでいく事にする。3pcのロッド中央を完全に曲げ、大鱒のパワーを抑え込むのだ。
私の出した結論は・・・・・・・長さ7'6" 4番の3pcで、最小ティペットだろう5x基準で全てをスタートさせた。
この大鱒を取った翌日から7'6" #4 3pcのテーパー表作成にかかった。804 / 3pc =8'0"でのバットの修正値を7'6"用にスケールダウンさせた数値で設計。並行してミドル、ティップセクションもそれに準じたスケールダウン。ロッド中央の数値、Tip Topの数値は大いに悩んだ。
7'6"の軽快さ+シャープネス、そして50cm~60cm鱒に対する強さとしなやかさと粘り。更には持ち重りなど一切感じさせないキャスティング性能、オートマティックにラインが飛んでいき、支えているだけで魚の走りを止める事が出来るしなやかさと強さ。その上でロッドが魚の激しい動きを吸収し、魚を暴れさせないという最重要・要素=ランディング性能。これらの総合的なバランスこそが最重要課題だった。そして2ヶ月半、やっと1本目の764が完成。
その20日後に764 / 3pc HEXA 待望のフィールドテスト。テスト初日の上々結果は前々回の 10DAYS 『ゴールドメダル鱒』 で紹介した通り。
谷澤君がこの764 / 3pcで5xで65cmを数分でランディング。更には7xという細いティペットで55cmも取った。
ロッド重量78gのトラウトロッド。
この超軽量78gのバンブーロッド 7'6" 4番 3pc HEXA " K " で60cmアップの大鱒に対応出来る。
バンブーロッドはバランスこそが全てである。
下写真は8月の60cmの雄、中央写真は7月テスト初日のしかもこの764の初鱒がレインボウ 雌の65cm という大正解が証明出来た。写真最下段は764 / 3pc HEXA ロッド名は " K" とした。スレッドの色は光の加減で濃く写ってます。中央写真のロッド色が正解です。
⚫️ 7'6" 4weight Line 3pc HEXA " K " ロッド詳細は直接アキマルまでお尋ねください。
AKIMARU BAMBOO RODS
Email akimaru.rods@gmail.com TEL 090-8393-2427