2011年9月5日月曜日

no.13 ライフワーク、人生を楽しむ仕事

 先日まで6月のアメリカのバンブーロッドイベントBambooRodDaysでのアキマルロッドやWATAKEの事を詳しくご報告してきましたが、
このイベントにもう1人日本人ビルダーが参加していました。
彼の名は赤池正隆、51歳の遅咲きのルーキーです。
 

 私が主催するバンブーロッドビルダー養成塾「竹竿塾」に赤池が入塾したのが3年前。
入塾前はアキマルバンブーロッドのオーナー。
私のロッドに触発され、ロッドを作りたいと思ったようです。


 当時彼は48歳の会社員、社内ではどうしても自分の実力を思う存分発揮出来ないことからかなりストレスを溜め込んでいたようで、
バンブーロッドビルダーで自分の思うロッドを作る事で納得のいく生活、そして人生を選んだとの事でした。

 入塾して3ヶ月ほど経った春、秋で会社を退社してバンブーロッド1本でやって行きたいと突然告白。
こっちがあわてるほどの思い切りの良い考えでした。
一応止めましたが彼の気持ちは変わりません。
言葉どおり其の年の秋退社。
その後去年の1年、総て竹竿作りの作業に生活の総てを掛け、
竹竿塾卒業認可レベルのロッドをまず2本完成させ、
「赤池ロッド」としてブランドを立ち上げ今年3月デビュー。
そして今回のBambooRodDays にプロビルダーの立場で参加したわけです。


 只当初から出品予定していたロッド2本は今一つ切れが無く、会場での1日目では評判を呼ぶ事無く終了。
 その日の夕方、それとは別のNEWロッド7’6”#4の2pcの鱒竿をヘンリーズフォーク釣りの現場で出して、私に評価を聞いてきたのです。
 
「何で?!出さなかったの?!これが良いじゃん。これはこのまま行けるじゃん!!」

 良いロッドでした。イベント2日目、このロッドを会場でお披露目した時、あのグレン・ブランケットをして「もう弄らなくて良いと私は思う」という好評。
 ペア・ブランディンも一部を変えればほぼOKだというコメントでした。
一切私はこのロッドについて手前でアドバイスをした事が有りません。総て赤池が考え、製作した完全な赤池オリジナルでした。
 
 良かったジャン!!オリジナル・テーパー&アクションと言うのが素晴らしい!!
 
 自分のロッドが評価される事もうれしい事ですが、竹竿塾で教えた生徒がたった3年で
世界でTopを張る、ビルダー達を納得させるロッドをたとえ1本でも作れた事、
加えて私がうれしかったのが、
作ったロッドをわざわざアメリカのこの最高のステージで恥を覚悟で出品した勇気と行動力、行動・実行を常々教えている私としては何よりの出来事でした。
当然彼がこのイベントから得た自信は物凄い価値の有る物になりました。
 

 たった3年ですよ。文字通り退路を断ち、覚悟を決めて、人生を掛けて挑戦し頑張ったバンブーロッドビルディング作業。
3年の頑張りに対する神様の評価だと思えます。
これからが大変かも知れません。
更に上のビルダーとしての高みを目指さなければいけません。
只彼は観察力、洞察力、想像力そして行動力を持っていますから確実に腕を上げていくでしょう。

 竹竿塾の先輩卒業生・石関雅樹がこの年上の後輩・赤池の活躍を聞き、悔しがった事。
 「来年は僕もBambooRodDays に必ず参加したいです!!」と言ったのは私が帰国して2日目の彼の電話での事でした。
彼は利根川本流の巨大山女魚を狙い続ける大物釣師。彼の作るロッドもこの大物を取る為の大物山女魚ロッド。中でも8’#4は最高。恐らく来年のイベント会場ではアメリカのTOP連中を唸らせるでしょう。
 
 そのほかに赤池と同期の神奈川の青木レージが控えて居ます。
彼も1本目からオリジナリティの高い山女魚竿を作ってますし、
8期生の大阪の大崎も続くでしょう。

 更に私が自信を持って言えるTOPビルダー予備軍がもう一人居ます。カナダでサーモン釣ガイドの修業に励んでいるJPこと、ジョン・フィリップ・テシエー30歳。
 彼がこのまま頑張れれば、5年後、間違いなく世界のTOPレベルを狙える力と感性を持っています。
 

 話は少し横にそれますが、私は思うのです。もうバンブーロッドは日本国内で通用するだけでは駄目で、世界で通用するロッドが求められる道具の姿だと思います。海外のビルダー達がまともなサイズの魚を対象にロッドを鍛え上げて、道具としての完成度を上げて行く毎日。対象魚の小さな日本のバンブーロッドが、海外ビルダー達のロッドを超える為のポイントは日本人ビルダーの手技と感性にあると思います。当然大型魚の釣実体験から出て来たデータから生まれるロッドが前提ですよ。
 
 
 上記生徒全員の共通項。それは竹竿塾に入塾するまで竹竿作りは一切やった事が無かったという事。無色に色をつける、それも生徒各自の持っている特色を上手く引き出しながらそれぞれに違う色をつける。それが竹竿塾で教える私の役目だと確信しています。
 私の教え子・竹竿塾生徒が最高の技術を極め、世界に名をはせる。
好きな事で世界のTOPに成る。
この人生の幸せを極めてくれる事、それが竹竿塾の思いです。
 竹竿作りに興味を抱かれた方はアキマルホームページをご覧下さい。
 バンブーロッド作りをライフワークとして、人生を楽しむ仕事として有りだとお勧めします。FF釣の好きな方は総てビルダーとしての可能性を持っています。其の生徒の魅力と可能性を私が最大限に引き出してあげます。           


竹竿塾 秋丸修一