2012年11月19日月曜日

no.20 竹フェルール二題





今年、取り憑かれたように熱中したのがバンブーフェルールロッド。
何とか11月23日からの東京展示会に間に合った。
タイプは2種。どちらも6角ヘキサスタイル。
タイプO はグラファイトロッドなどで使われているオーバーサイズスタイル。
タイプS はスピゴットスタイル。

バンブーロッドには金属のパイプフェルールが当たり前。これは長い竹竿の歴史の中で
誰も疑う事無く定着、存在している。現在も。
良く出来た金属パイプフェルールはまずトラブルは無い。私も数十年疑いも無く金属パイプフェルールを
使い、多くの釣り人方に使って頂けるようなバンブーロッドを400本以上作らせて頂き今日がある。
この私のバンブーロッド制作の歴史に7年前ホローロッドが現れた。ブランクの中を中空構造にするのだ。
私のホロースタイルは6角の空洞を形作る。
昨年、このホローロッド制作時、端材として出た六画の中空棒で遊んでいたら面白いヒントを見つけた。
端材にある6角空洞をメスとして、この空洞と同じサイズの6角のオスを作って差し込むと30cm程の
ガラス製温度計がスッポリ入る蓋付きの美しい6角棒ケースが出来た。
これは使えるなと指を鳴らした。
以後この構造を利用したバンブーフェルールの試行錯誤が始まった。
ゴソゴソ一人でやっていると最近何人かのビルダーが、バンブーフェルール製のバンブーロッドを作って
いる情報がいくつか、知り合いから聞こえて来たが、余り興味を覚える事は無かった。
私の基本は真似る事からではなく、情報の無い所から実体験を繰り返し自分の納得の行く点だけを積み重ねて
自分の世界感を形にして行く事が楽しいのだ。他人のやる事にあまり興味が湧かない。
このバンブーフェルールもまずは遊び心だった。
自分自身で、遊びでどうなるかその結果を体感し、
使えるものなら自分のロッドに使ってみるか?!・・・位のスタート
だったのだが・・・・1本目が完成した時・・・・これが思いのほか良い出来だった。
作業を始めた当初、弱いのでは?美しくないのでは?金属のパイプフェルールを超えられないのでは?等々、次々に
現れる疑問の向こうでそれを克服するべく実験体験する事が非常に楽しいものだった。
実験の成果を総合勘案し、これで行ってみようと思えるやり方で1本目が形となった。
金属ジョイントの付いていないバンブーだけのブランク、その6面がバットからティップへと直線面で
繋がった時の美しさは、30年前最初にバンブーブランクが完成した時の感動を思い出させてくれた。
ロッドアクションは金属フェルールが無くなった分スロー感が増していたが、悪くはなかった。
只、キャストしてパワーが思ったほどでは無かった。
その後作り替え、フィールドテストを繰り返し、作る事6本、それを修正する事8回、やっと5日前、
これならばと思えるロッドが出来上がった。

その昔ソリッドバンブーロッド絶対の時代にホロービルトロッドが現れたとき、
まだホロー構造を形作る為の適材の強力な接着剤は無く
剥離の心配等からホローロッドが世の中に完全に受け入れられる事は無かった。
時代は進み、科学やテクノロジーの発達した現在、すぐれた接着剤や塗料の出現で、
グラスやグラファイトロッッドと同じくバンブーロッドも中空構造のホローロッドが当たり前のように多くの釣り人を魅了している。
ホロービルト構造のバンブーロッドが生まれて来たのは歴史の必然である。
今後もバンブーロッドはホロー構造の元、進化し続ける釣り道具であるだろう。
進化するのはブランク本体だけではない、そろそろトラディショナルとなった金属パイプフェルールに変わる素材のフェルールがあっても良いのではと思う今日である。

ともあれ、アキマルの新機軸バンブーフェルール・ロッドにご興味のある方は11月23日から東京渋谷のアートギャラリーで開催する展示会で是非ラインを通しキャストして見て下さい。
作者が千の言葉で飾るより論より証拠、キャストしてみて下さい。
言葉を超えるNEWバンブーロッド・フィールをご体感下さい。

私たちの展示会詳細はアキマルのホームページ  http://www.akimaru-rods.com のNEWS ページをご覧ください。