2023年7月3日月曜日

2023 Henry's Fork旅 その1

 年ぶりのHenry's Fork

    Henry's Fork(以下HF) に行って釣りをしなかった。そんな馬鹿な事!!・・・・・しかし、そんな馬鹿な事があったんです、これが。

 2023年6月16日、4年ぶり待望のHF旅出発。  この4 年は異常に長かった!! 

 久しぶりのアメリカはいつもより遠かった。福岡から羽田、羽田からバス移動、成田からデンバーそしてアイダホフォールズ へ。この行程は予想通り持病の腰に来た。この 4年で又残り人生が少なくなったのを実感、トホホ😢 デンバーからの飛行は、我慢した尿意であまり快適では無かった。到着までトイレ行きの許可をくれなかったスチュアデスに、限界だったぜと本気で嫌味を言いタラップを降りた。アイダホフォールズ 空港はいつも通り、懐かしいローカル空港の匂いがした。タラップを降りたところで、アメリカ、HF共に初めての谷澤君とガッチリ握手。日本から総勢8名の釣り人。青い空と白い雲は最後の2019年と変わらず360度で広がっていた。

 空港からレンタカーで1時間半、先ずはお約束のHF、ラストチャンスエリアのパーキングにあるお立ち台で様子見。矢張り虫の流下が少なく、釣り人も明るいPM7時半の時点で皆無。これは事前情報で聞いてた通り、シーズンは少し遅れている証拠。

 まあまあ!!HFですから大丈夫ですよとメンバーへ。

      

 今回のもう一人のメンバー、Chris MooreとFly Shopトラウト ハンターで感激の再開抱擁。合計 9人車 3台の大パーティ。この大所帯パーティは初めて。なんとか頑張るべー!!

 バンクフィーダー

 6月17日 釣り初日。朝からトラウトハンターへ。ライセンスや毛鉤を購入。その足でラストチャンスで釣り。11時、既に良い場所には釣り人が見える、ざっと数えただけで20人程視界に見える。それでも、いつものライズ待ちのポイントを確保。半分はその近くのバンクでスタンバイ。残り半分はHF釣りベテランの安斎さんをリーダーにHF初めての奥ヒサオさん達のガイドを任せ、更に下流へ。

 今回はHF初めての谷澤君と奥さんにHFの大鱒を取らせると豪語してるので、その手始めがこのラストチャンスエリアのマッチ・ザ・ハッチポイント。谷澤君はパーティ最年少の45歳と若いのだが、私も認める大鱒釣りの名手、旅前はHFでも楽勝で釣るだろうとの予想。

 11時半、釣り場がザワザワと動き始めた、陸鴎が飛んできたのだ。水面に降り立ち、クチバシで流下虫を盛んに啄み出した。ハッチが始まったのだ。それを確認して谷澤君に声をかけた、「行くぜ谷ヤン、向こう岸まで行って、バンクの際を探そう」

 向こう岸まで流れをほぼ直角に進む。川幅の2/3付近150m?まで行った辺りでライズ発見。しかしそのライズは向こう岸から渡渉してきていたアメリカ人釣り人とのちょうど真ん中。どちらも竿を出さず、しばらく次のライズを待っているとどこからともなく「AKIMARU さ〜ん」という声、谷澤君が「秋丸さん、向かいの人がアキマルさんと呼んでますよ」「エツ!?」 よく見ると正面に先ほどから立っているアメリカ人が手で合図をしている。メガネを外し、注視するが誰か分からない。するとその男が大声で言った「I'm Chris Vance!!」それで分かった!!「OH!! Chris, I'm sorry」

 正面に立っていたアメリカ人は友人Per Brandinの後継者と噂のあるChrisだったのだ、帽子を目深にかぶり、サングラス、逆光だったこともあり、彼の顔が全く見えなかったのだった。更にChrisが身振り手振りで先程のライズを私達にやってくれと言うのだが、こちらも同じ事をChrisに返す。そうこうしている内に、魚が移動してしまった様で、クリスも対岸に戻り、私達もそれに続いた。

 向こう岸で4年ぶりの握手。谷澤君を紹介。谷澤君、緊張の英語で自己紹介。一旦Chrisと別れ、バンク際の大鱒ライズ探しが始まった。谷澤君が先ほどChrisがライズを譲ってくれた事を指して「あれがアメリカのシェアする釣りなんですね。カッコいいな〜」どこかの島国の様なギスギスした釣りはHFには無い。

 探す事1時間、流れの瀬では散発だがライズも見えるし、ロッドを曲げている釣り人も視界に入ってくる。しかしバンク際の水面には黒い影は盛り上がってこない。風向きが違うのか?私が谷澤君にやらせたいのは、HF釣りで一番難しいラストチャンスのバンク際の大物、バンクフィーダーのマッチ・ザ・ハッチの大鱒釣りなのだ。

 まず発見するのが難しい。発見した後のアプローチが難しい。アプローチ出来ても毛鉤をドラグフリーで食わせるのが難しい。バンク際の水深30cmほどの浅場に着く大鱒は、非常に神経質で警戒心が強い、僅か1回か 2回のチャンスしかないのだ。更に1時間バンク際のトレイルを歩き続け、探し続けたが、はっきり分かるライズも、怪しい水面の歪みやもじりも見えない・・・・風向きだ・・・・・更にライズ探しは続いた。

       

 今は昔、1986年7月 私の最初のHenry's Fork、師匠の芦澤さんに連れてきてもらった最初のアメリカ旅、HF初めての日、ラストチャンスでいきなり20"オーバーの鱒をまぐれで掛けてしまった。しかし当然の様に切られ取れず。その旅ではその後3日間 HFを釣ったが良いサイズを見つける事すら出来なかった。悔しくて翌年もHFに挑戦、しかしその年も駄目、3年目1988年旅も最終日まで取れず、万策尽き果て、プロのガイドを雇ってHFの釣りを勉強した。それでやっとHF釣りのやり口の一つが見えた。それまでの3年間、私はHenry's Forkのマッチ・ザ・ハッチ釣りの洗礼を受け続けていた事を自覚。その悔しさから以後、毎年のHenry's Fork巡礼旅が始まった。今日まで35年間で案内した日本人釣人の数は総数で200はとうに超えているだろう。全員がそれぞれ何らかの形でHF釣りの洗礼と感じる場面を体験しているだろうと思える。

 曰くHenry's Forkのマッチ・ザ・ハッチの釣りを知らずしてFly Fshingを語る無かれ!!

 私見ではあるが、狭い、小さな川で小さな魚を取っていても、なかなかFly Fishingの本質は見えない様に思える。Bamboo Rod も然り。出来の悪いバンブーロッドだとちゃんとしたサイズのHF鱒は取れない、釣りが成立しないのだ。そこで常々思っているのは、日本の若い釣り人、将来に続く日本のFly Fishing 世界を形成する若者にHFの本物のFly Fishing を紹介、体感して貰う案内役が私のライフワーク、谷澤君にHFの洗礼を受けさせるのが今回の旅の目的の一つでもあるのだ。

 この日は1回だけアプローチする怪しいチャンスはあったのだが、サイズまでは分からずPM4時で釣りは終了、風向きが逆なのだ。早々に着替え、その足で予定のDINNER パーティへ。

 Slow Wading Social Club

 PM 4:00からHFの釣り振興 / 河川保護保全活動団体 Henry's Fork Foundetion のシーズンオープニング、DINNERパーティ、Henry's Fork Dinner へ

 会場はラストチャンスお立ち台に併設されている駐車場広場に巨大なテントが設営され、500名用テントが既に熱気でムンムン。肩がすれ違うほどの賑わい。旅前の6月初旬の時点で予約は満席状態、一旦諦めた参加をChrisが教会に頼み込んで1テーブル確保。確保出来た我がパーティのテーブル名が Slow Wading Social Club 。Chrisの命名センスの良い事😁このジョークネームの意味が分かる人はかなりの音楽通。かの有名なキューババンド / ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ、彼らの奏でるサルサの小さなステップを想像あれ😎 慎重なウェーディング時のステップがサルサのリズムに重なるでしょ。

      

 熱気ムンムンの会場で酒を呑みながら、食べて呑んで、乾杯、握手、抱擁、また乾杯。このパーティはHenry's Fork Foundetion の活動資金集めのチャリティーパーティ。会場にはHFのスーパースター Rene' Harrop や Mike Lowson 始め、有名人から無名の人達まで、自分の作品や道具を教会にプレゼント、それらの品物を会場でオークションで、競り合っていく。 この売り上げが協会の活動資金の一部となっていくのだ。恒例のオークションが始まった。テンポのいい司会者の掛け声、司会のテンガロンハットの男(プロの人らしいのだが名前を覚えられず)が我がテーブルにも一声、「どうだい!?テーブルC9の日本人のお金持ち!?一声!!!」この声に会場が大歓声!!恥ずかしいやら嬉しいやら、ただただビールのコップをあげて答えると、それに又大歓声。
 盛況、猥雑、歓声、ほぼ酔っ払いの大パーティは8時半過ぎまで続いた。テントの外はまだ明るく、お立ち台からは数人の釣り人が見えた。

 6月18日 この日は生憎本降りの雨。この日は釣りを諦めてWest Yellow Stoneの街で、お土産買いと自炊用食料の買い出し。昼はお約束の中華レストランで東洋味を堪能。

 旅のルールで20”以上を釣った人が、次のレストランで、メンバー全員に奢ることになっている。このルールに従って、この日の中華は17日ラストチャンスで20インチを取ったチャンピオン庄司さんの奢り。😎 この庄司さん魚のサイズ判定は写真しかなく、全員が20"オーバーと正式認定。我が Slow Wading Social Club メンバーは矢張りラテン系で、皆ノリが良い。5cmほどの違いは皆許すのだ!!庄司さんご馳走様でした😁

      

 The Bamboo Rod Days 2023 

 6月19日 この日は私とChrisのメインイベント Henry's Fork河畔、ハリマン公園内の広場で開催される 竹竿イベントThe Bamboo Rod Days 2023  にメンバー全員で参加。9時に受付会場へ。

 受付会場はコロナは大丈夫なのか心配になる程の全員ノーマスクの大混雑。Rouelがいた、Timがいた、Andrewもいた、JeogeにChrisが2人、John が2人、Dave、Bruce、Jim、Nelson などなど、4年分の握手と抱擁ぜめ。全員に挨拶をすませ、ホストのNelsonさんのコップを叩くチャイムで会が動き出した。

 全員で広場に移動。広場会場には開始時は70~80名ほどいただろうか。すぐに全員それぞれの目当てのバンブーロッドで、縦 4 列・横 7~8 列並びでキャストが開始された。30本以上のフライラインが同時に空中を舞い、場所を確保する為の移動20mが大変だ。開始から10分、テーブルに置いていた7本のAKIMARU RODSの内5本がもうどこで、誰がキャストしてるかわからない。そう言う間にも7'9"#4 2pcはありますか?このロッドの長さはどれ位ですか?以前キャストした7’6”#4のTom Morgan モデルはありますか?OH!!これがHEXAジョイントですか?投げて良いですか?英語の対応はほぼ適当。しかしHEXAロッドが黙って物を言ってくれる。僕はキャスターの横で頷くだけ。もう完全対応は無理。

          

 9時半に始まったイベント。1時間を過ぎ、2 時間を境に、ノリの悪いのは我が日本人パーティ。全員の目が釣りに行きたいと無言で光っている。11時半、もう限界だろう。「皆さんは釣りに行きます??」全員、即答で立ち上がった。無理も無い、全員AKIMARU BAMBOO RODS のオーナーさんばかりなのだ。一番良いロッドは知っているのだから😎な〜んちゃって。12時前、私とクリスを残して全員 Ashton のブラウン釣りへ。

 午前中 3 時間のお客様対応で昼飯時は既にヘロヘロ。日陰のない広場会場のアイダホ の日差しは強烈。乾燥した抜ける青空と白い雲は爽快なのだが・・・・午後はもう動き回る対応は勘弁させてもらって、テーブル周りの椅子に腰掛け、そこまでくる客のみを中心に対応。ところが、テーブルまで来る客が一向に切れる感じが無い。挙句テーブル周りを客が2重3重に取り巻く。その間にも、 あの Patagonia のFF部門の総括をやっていると言うKyleとロッドの話で盛り上がる。彼は私の友人で804 HEXA2pc を使っているJohn Juracekのキャスティングの弟子。その彼が私の得意竿 794 Henry's Fork Specialと新作の 794 3pc HEXAに異常な関心を示した事。そのキャスティングの美しさと上手さは、間違いなく凄腕の釣り人であることがわかった。コスチュームやロッドチョイスのセンス、話し方の物腰、若そうだが非常にクールだった。それで、こいつにあれを見せてみようと思いついたのだ。あれとはTHE BOXだ。オリジナルデザインのFly Boxだ。

 まず彼に何も言わないでその木箱を渡す。「Fly Box? 」「YES!!, please open」

 Kyleが箱の手前を通常通り開けようとするが開かない、逆も開けようとするが開かない。力で開けようとしたところで、一旦ストップ。私が受け取り、箱の背中側にある黒点目印を示す。「OK」そしてその目印側を持ち上げ、下箱と上蓋の間に出来た隙間を彼に示す。そこでKyleが 「Oh!!」小さく頷く。その状態のまま、普通通りに箱のフロントを持ち上げると、中には友人の塚田兄弟が巻いてくれた美しい日本製の毛針がびっしり詰まっていた。箱を開けると同時に Kyle が感激した「WOW!!」箱を渡してもう一度開け方を説明。Kyleの最初は、持ち上げ方向が若干違い、それを指摘すると、2回目はうまくいった。「It's Magic 😎」今度は自分で蓋を閉め、再度2クッションの開け方でうまく開けれた。その間にまた人が集まってきた。Kyleが突然誰かを呼んだ、Yvon !!  Yvon !! ??? イヴォン?? エッ!?? あのYvon ???・・・・しばらくすると広場の向こうからあまり大きくないアメリカ人がやって来た。矢張り!!

 その人こそ私の若かりし頃、スーパースターとして憧れていた人、ロッククライマー、イヴォン・ショイナードその人だった・・・・・・・・・・・・・・・続く

           帰国して1週間後、親友John Juracek から写真付きのメールが届いた。皆様にもお裾分け 
           Hi Aki,
           Here’s a nice brown that I caught on HEXA 804 2pc rod. 
                                       Hard fight with several jumps. The HEX rod performed beautifully. Thank you!
           John

      
 

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