2023年11月1日水曜日

Catskill 博物館主催 AKIMARU EXHIBITION その1

 Catskill博物館主催 (Catskill Fly Fishing Center & Museum , CFFCM) 

 AKIMARU BAMBOO ROD HEXA Exhibition  

 2025年開催決定!! 

  Catskill 博物館主催で、HEXAを中心としたAKIMARU BAMBOO RODS の個展が2025年開催が決定しました。この展示会開催の為、博物館の展示スタッフとの打ち合わせ会議に出席の為、9月13日からCatskillに出かけました。その際の、展示会開催の決定的要因になった様子を今回はお知らせします。

 尚、展示会に関する情報は今後の 10DAYSで随時お知らせいたします。ご期待ください。

 Garrison最初のバンブーロッド

 銘竿と言われるFly Fishing ロッド3竿をキャストしてきた。

 1本はCatskill 博物館(CFFCM)が所蔵するEverett Garrisonが最初に作ったと言うバンブーロッド、2本目3本目がHoagy B.Carmichaelの所有するGarrisonが個人的に使っていた209EとHoagyが好きなPayne Rod 7'6"  3pc。

 1本目のGarrison Rodは9月14日、Catskill博物館のスタッフ等総勢9名で打ち合わせたAKIMARU BAMBOO ROD Exhibitionの2時間半の打ち合わせが大成功で終了した後の事だ。

 博物館館長のAnthony が少し勿体付けた言い方で「今から博物館所蔵のMr.Garrisonが最初に作ったバンブーロッドをお前さんに振らせるから、裏庭に来いよ」と誘ってくれた。会議に使った自作ロッド1本だけ持って、裏庭に降りてみるとAnthony と数人の初見の男達と HARDYの名キャスターJohn Shanerが既にキャストしていた。  

 Anthony が振っていたロッドを私に渡す。

「このロッドはMr.Garrisonがお客様の◉◉さんの為に作った彼最初のバンブーロッドだ」

と注釈をつけて、私にロッドを渡す。私も礼儀上、彼に付き合い、大層興味ありげに振る舞いながら、恭しくロッドを受け取る。既にラインは通してあった。礼儀上「投げて良いのかい?」と改めて聞く。Anthonyが答える「Sure 」私はキャストを始めた。キャストが始まると、もう作り笑顔は忘れてしまった。

 7mピックアップから、1バックキャスト・・でシュート・・OK  10m・・・OK  12m・・・ OK  15m ・・・ OK     17m のOne Back Cast ・・・・OK。

 連続フォールスキャスト、早いストローク、遅いストローク、サイドキャスト・・・。ラインを手繰ってリバースキャスト。アンダーハンド・キャスト。スラック、フリップ、ロールキャスト。恥を欠かない範囲で、やれるキャストで、ロッドを試してみた。

 どの距離でも、どんなスピードでも、どんなトリックキャストでも、ロッドがついてくる、これが Mr.Garrisonのプログレッシブアクション。ソリッドロッドでありながら、持ち重りを一切感じさせ無い投げ易さ。現代の様に優れた接着剤が無かった時代に、ソリッドロッドで既にこのプログレッシブアクションをMr.Garrison は完成させていた訳だ・・・・・。
 「素晴らしいね!!有難う。Anthony」少し大袈裟に感謝を込めて博物館館長に言う、次の順番を待っていたJohnにGarrison ロッドを渡した。

 今度はJohnの完璧なループが色んな距離で美しく伸びて行く。ため息が一つ😎

 彼より先にキャストしてて良かった。彼の後では全ての釣り人が、肩身の狭い思いをするだろう名手John Shaner の完璧キャストとそして名竿 Garrison ロッド。

 Johnが投げている間に私は自作のセミホローロッド 8'0" #4 2pc 804HEXA JJ Specialをセット。先ずはAnthonyに渡す。Anthonyが投げ、その軽さと力の伝導性に驚いていた。

 804HEXA バンブーフェルール・ロッド とGarrisonソリッドロッド

 Anthonyが 804HEXAをJohnに渡す。Johnが新作?と聞いてくる。YES!!
 彼はこの804 HEXAは初めて。コロナ 前の2018年以来会ってなかったからだ。
 持った瞬間、Johnが親指を立てた。キャストし始めて再度私を見て左手親指と人差し指で輪っかを作った😎

 ラインが伸びて行く、最終バック20m弱でシュート・・・・・・・・美しいループが スロースピードでゆっくり伸びて、ティペット先端がふわりと解けた。

 一切の無駄を省いた唯々美しいラインが伸びて行く。ラインを手繰り、再び距離が伸びて行き20m前後のフォールスキャスト。1m幅のループはやはりスロースピードで前後に伸びて行く。ラインは同じ幅と同じ高さ、同じスピードで伸びて行き、ふわりとターンオーバー。

 Johnのキャストからはスポーツキャスティングではなく、美しい舞を思ってしまう。

 私も投げたくなった。

 「John ちょっと僕のキャスト久しぶりにチェックしてよ」「良いよ」

 先ずは10m弱をピックアップと同時に「バックが低い!!」とJohnの声。バックキャストを意識すると「そう!!それで良い。完璧!!  YES !! YES !!」15m距離のフォールスキャストを数回チェックして貰い、それでOK、納得。それ以上やるとJohnの前では化けの皮が剥がれる😎

 再度 804HEXAをJohnに渡す。投げ始めたJohnの横で彼に尋ねる「どう?804HEXAは?・・・5年前より更に進化したでしょ?!この804は僕も自信があるんだよ」

 

 Johnがロッドブランクを撫でながら、少し興奮気味に話し始めた。
 「凄いよこのロッドは。完璧だと思う。今、色んな距離と色んなキャストを試してみたけど、欠点が見当たらないよ。非常に投げやすいし、最高だね。腰がシャキッとしてて、良いサイズの魚も取れるだろうしね」

 更に先程の Garrisonロッドとの比較論も伝えてくれた。これをJohnの口から聞きたかったのだ。それは・・・・・・・・・私と同じ感想だった、いや世界的名キャスターJohn Shanerのキャスティング理論の言葉の重さは私が誰よりも解っている。Johnの口からの思わず出たのだろう、本音の比較感想は私がバンブーロッドを始めた時から、心のどこかで求めていた言葉と同じだった・・・・・・

 この事と2日後一緒にキャスティングを楽しんだHoagy B.CarmichaelのHEXA批評が、AKIMARU 展示会開催のダメ押しをして来れた。 

  正6角形のメタルチェックと伸び収縮ゼロのメタルラインのX巻き + シルクスレッドのラッピングとウレタンコーティングの最終型HEXAデザイン。

 この2日後、Hoagy B.CarmichaelからMr.Garrisonが使っていた209のパーソナルロッドとPayneの7'6" 3pcを投げさせて貰った。Garrison 209は投げている間 WF5Fと思い込んでいた。PayneはWF4Fだと。投げやすく持ち重りのしない、どちらもソリッドロッドだということを微塵も感じさせないロッド。それはバランスの良さ。
 Hoagyが言った「今投げていたラインはGarrisonが6番ラインで、Payneの方は5番ラインだよ」
 どちらも確かに腰があり、シャキッと芯の通った強いTROUTロッドである事は間違い無いが・・・全く重さを感じさせないソリッドロッドだった。その軽快感は想像していた6番ロッドのモッタリ感とは全く違う、5番の3pcの重量感でも無かった。それこそが紛れもない昔の巨匠と言われる人達の銘竿なのだろう。

 大鱒達が教えてくれたアキマルアクション

 1986年以来、コロナの3年間を除いて、ほぼ毎年1回か2回通って来た私のアメリカ鱒釣り旅、そしてほぼ同時に始まったBamboo Rod Building とバンブーロッドビジネス。良いのか悪いのか自分では分からないまま、他のバンブーロッドビルダーの事は一切気にせず、ただガムシャラに自分のスタイルで此処までやって来た。
 アメリカ人のユージーン三田さんに教わったバンブーロッド製作方法を基に、自分のやり方で、自分の考える方法や工夫・判断で、その都度のロッド結論を下して来た。それは自分で考えたテーパーで先ずはロッドを作り、想定上限サイズの鱒をかけてみて、その上で必要な修正作業を施し、修正後のロッドで更に鱒を掛けて見て、再度判断。その繰り返しでロッドアクションの最終決定を自身で下して来た。
 加えて、今旅で出会った昔の銘竿と言われるロッドにも全く興味が無かった。勿論現代の日本人およびアメリカ人その他の世界のバンブーロッドビルダーのロッドにもPer やTom Morgan に出会う前までは、全く興味が無かった。理由は私のロッドアクションは、いつも相手をしてくれる野生の鱒達が正しい答えを教えてくれると確信していたからだ。
 しかし・・・もしかして私の通って来た道は、少し足りない部分があったのではないかと、今回のCatskill とNew York、LongIslandの旅で教わった様な気がしている

 日本のフライフィシングと日本人のバンブーロッド

 それは老舗のCatskill博物館は、館長Anthony他、博物館運営スタッフが全てボランティア活動、Garrisonロッド他、博物館貯蔵品を超貴重品として扱うAnthonyの対応やそのプライドや口振り、レジェンド Hoagy B.Carmichael のMr. GarrisonやPayneに対するリスペクトの有様、更にCatskillやLong Islandの釣り場環境の充実等など、アメリカ社会におけるFLY FISHINGの社会的存在感や、アメリカ人が作って来たFLYFISHING文化の歴史を大切に捉えている事を目の当たりにした時、日本人Fly Fisher として、忸怩たる物を感じざるを得なかった。
 同時に、このタイミングで、世界的な名キャスターJohn Shanerが Garrisonロッドと私のオリジナル 804 HEXAを同時にキャストして、比較批評をくれた事、その内容は強烈だった。その確かな批評は、現時点での自分のバンブーロッド製作方法に間違いは無かった事を思い、更には自分のバンブーロッド世界に於ける立ち位置も告知された様に思え、襟を正したところである。

 日本にアメリカほどのFLY FISHINGを尊び、その存在を必要とした社会環境があるか?

 後残り少ない私のFLY FISHING人生、少なくとも私の役割である『日本人の作るバンブーロッド』なんとか最後まで極め続け、後世に繋がる道筋だけは残したいと考えている。

 次回 10DAYS で更に詳細な AKIMARU HEXA Exhibition 情報をお届けします。乞うご期待😎